子宮は、臍の少し下の位置でS字結腸と直腸の前あたりにある西洋なしのような形をした臓器である。子宮底とよばれる厚い部分を、名前とは逆に上にしてからだの中におさまっている。西洋なし状の形のちょうど壁の部分を子宮体部とよび、下部にある細くなったところを子宮頸部とよんでいる。
子宮の内部はまさに生命の源、エネルギーを感じる場所である。毎月ごとの月経による新陳代謝を実に450回近くあるいはそれ以上も繰り返しながら確実に時をきざんでゆく。しかし、子宮のさらに神秘的というか主の保存的本能的なところが子宮の機能の存続である。
体外受精の技術が進み、残念ながら受精や自然着床が難しい状態のカップルでも体外受精により受精卵を子宮に戻すことにより受胎・妊娠・出産が可能になっている。この方法を用いた最高齢の妊娠が68歳と報告されている。つまり、子宮はこの年齢になっても完全に萎縮することなく生命保存のための重要な役割を演じることができるということになる。
一方、このような細胞が増殖したり剥がれ落ちたりと細胞のいれかわりや動きが活発な組織ではやはりそれによりトラブルもある。月経痛を主訴とする月経困難症、子宮内膜症、子宮筋腫そして早期発見したいのが子宮がんである。子宮の恩恵とリスクについてよく理解し自分のからだのケアに努めてほしいものである。
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