子宮は、女性のからだの中で、毎月ごとの月経による新陳代謝を実に450回近くあるいはそれ以上も繰り返しながら確実に時をきざんでゆきます。
体外受精の技術が進み、残念ながら受精自然着床が難しい状態のカップルでも体外受精により受精卵を子宮に戻すことにより受胎・妊娠・出産が可能になり、この方法を用いての妊娠では世界で60歳台の方の成功例も報告されています。つまり、子宮はこの年齢になっても完全に萎縮することなく生命保存のための重要な役割を演じることができるということになります。
一方、このような細胞が増殖したり剥がれ落ちたりと細胞のいれかわりや動きが活発な組織ではやはりそれによりトラブルも当然発生します。子宮内膜症、子宮筋腫そして早期発見したいのが子宮がんなどがあります。月経痛を主な訴えとする月経困難症は、それらの疾患に伴って起きることが多いので見逃せない症状です。
月経困難症とは、月経に伴っておきる様々な病的な症状の総称です。下腹痛、腰痛、腹部膨満感、吐気、頭痛、疲労、脱力感、食欲不振、いらいら、下痢、憂うつの順に多くみられると報告されています。初経後2から3年した頃から始まる「機能性月経困難症」と呼ばれるものでは、月経の初日・2日目ころの出血が多いときに周期的に痙攣のような強い痛みを感じます。子宮の頸管が狭い場合や、子宮が過度に収縮することが原因と考えられます。
また、月経の4から5日前から月経の後まで鈍痛が持続して続く場合は、子宮内膜症や子宮筋腫などの器質性疾患を伴うことから「器質性月経困難症」と呼ばれます。
いずれにしても、初期の診断や治療がとても重要になります。「月経痛だからしかたがない」と思い、自分だけでケアを続けず、産婦人科の医師に相談してみることをお勧めします。
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